「フェミはブスBBAばかり」への回答

「その通りです!あなたのような素敵な男性にモテたいのにブスなので相手にされず、くやしくてフェミになりました」とか答えたら満足なのか?
珈音(ケロル・ダンヴァース) 2021.04.23
誰でも

女性差別をやめろ、ということを言っている女性がよく言われる言葉がある。

  • 若い女性(場合によっては未成年女性)に嫉妬している

  • 2次元のキャラに嫉妬している

  • 美人に嫉妬している

  • モテないブスBBA

  • 更年期(閉経BBA)

 こういった言葉に対して、女性はどう反応するべきなのだろうか。

「私は美人」

 一時期、友人と「私は美人です」と返すというのをやってたことがあるのだが、これは厳密には「間違い」であろう。私にしても友人にしても、別に美醜でジャッジすることを肯定しているわけではない。ただ、相手がこちらの容姿も見ずに勝手に「自分の気に入らない発言をしている女はブスなBBAであってほしい」という願望をぶつけてきているのだから、その願望を打ち砕いていくのもよかろう、と。向こうが「女が一番傷付く」と信じてそう言ってきたのだから、相手にとって不愉快な返答のひとつのバリエーションとして、「美人です」「モテています」などを使ってみていた。ついでに、私が美しいか否かはお前ではなく私が決めるという話でもあって、「すべてのひとは美しい」みたいな方向だったとも言えるわけなのだが、そもそも「美しい」ことに価値を置くことそのものを疑うべきという主張も最近は増えたと思う。これは最も正しい姿勢なのだろうと思う。

 痩せてようが太っていようがあなたは美しい!ありのままで美しいのだから、ありのままのあなたを愛しましょう!というメッセージにエンパワメントされるひともいるだろうが、しかし、現実はそうした【自分を変えればいい】問題ではない。日々目にする「美しいとされる女性像」と鏡に映る自分の姿を見比べてみて違いが分からないはずはないし、周囲の扱いが明らかに「美しいとされる女性」と自分で違っていたりすれば、それを全く気にせずに「私は美しいんだ」と跳ね返せるひとの方が少ないだろう。

 私自身もルッキズムに深く毒されていると思う。太りたくないし、できれば今より5kgくらい痩せたいと思っている。その理由は、持っている服が着れなくなると困るというのが第一なのだが、やはり「服は着られればなんでもいい」ではなくて、素敵に見えるように着たいと思ってしまう。でも、せめてそのルッキズムの呪いを他者に向けないようにしたいし、自分に対しても加齢についてはあまり気にしない方なのではないかとは思う。歳をとってきたなぁと感じることは多々あるが、外見上の変化よりも体力の低下の方が気になる。しかし、5年後には白髪や皴やシミに落ち込んだりもするのかもしれない。

ブスでBBAでモテない「から」ではない

 まぁ、正直なところ、アンチフェミ男性にモテたいというひとはあんまりいないと思うのだけれど、実際にフェミニスト女性が「ブス」であるかどうか、年齢がどうであるか、モテるかどうか、というのはどうでもいい話なのである。美醜によって世間の扱いが変わるというのは、事実ではある。しかし、美醜で判断されて「美」に振り分けられた女性と「醜」に振り分けられた女性はそれぞれ別の女性差別を受けると同時に、女性であることで共通して受ける差別もある。「差別」と言うには微妙なケースがあったにしても、男性であったら確実に受けることのない扱いを、女性は受けることになる。

 そして、ひとは誰でも歳をとる。日々若返っていくひとはいないのだから、私たちは日々歳をとり、常に「自分よりも若い人」が増えていくことになる。若さを誇ることは、同時に将来の自分、今よりも年老いた自分を見下す行為だと思う。
 男は自分のことは棚に上げて「女性の年齢」にだけ言及することが許される立場だと勘違いしているし、年配女性が若い女性に嫉妬していると思いたがる。実際のところ、若い女性に嫉妬する女性もいるにはいる。私自身がそういった年配女性から意地悪なことをされた経験もある。しかし、多くの場合、そういう女性は若い頃に男性から「ちやほや」されていたであろう外見をしており、若かった頃に年配女性を「年配である」ことを理由に馬鹿にしていた経験があるのだろうなぁという気がする。自分がそうだったから、自分より若い女性は自分を年配だからという理由で馬鹿にしていると被害妄想を膨らませているのだが、彼女をそうさせたのは「若い女性だからという理由でちやほやした男たち」である。つまり、ちやほやに嫉妬するのは、モテないブスBBAよりも圧倒的に「かつてはモテていた美人中年女性」であることが多いし、結局は男が女性を分断して女性に厳しい女性を作り出しているのだ。

 「モテる」が何を意味しているのか、ひとによって幅がありそうなのだが、やたらとセックスに拘るアンチフェミが多いので、おそらく女性に投げつけられる「モテない」は「(男から)セックスしたいと望まれることがない」という意味なのだろう。
 ふむ、確かに女性の中にも「異性として求められなくなったら終わり」みたいな価値観を持っているひとは存在している。というのも、「女体として男から欲望されてこそ」と刷込まれて育つからなんじゃないかと思う。しかし、そうした価値観をガチで内面化していたら、たぶん、フェミニストっぽい発言にいかないのではないかな?と思う。
 好きなときに好きな相手とセックスする自由を手放さないためにも非婚を貫いた上野千鶴子世代のフェミニストでさえ、「男から欲望されなくなったら終わり」とは言ってない。彼女らは「自分たちが男を欲望する」ことを肯定したのだから。

チーズバーガーでも食べて落ち着け

 結局、なんと答えればいいのか。

 身も蓋もないことを言うと、なにを言っても無駄である。もう多くのひとが指摘してきているが、彼らにとっては自分たちにとって都合の悪いことを言う女はブスだしBBAだし、当然、ブスBBAと自分たちはセックスしたいと思わないので「モテない」認定になる。実際の容姿は関係ない。「かわいいね」とナンパしてきておいて、断ると「なんだよ、ブス」って言うのと同じなので、まともにとりあっても仕方がないわけである。

 どうせモテないブスBBAと思いたいなら思わせておいてあげればいい。彼らが気付いたときには周り中がブスBBAばかりになっているかもしれないが、大丈夫、彼らには2次元がある!生身の女性がみんなフェミニズム的なものの考え方に同調し、彼らにとってブスでもBBAでもない女性が3次元にいなくなったとしても、きっと2次元の、男が男のために考えた男の喜ぶ台詞を言ってくれる女の子を「本当の女の子」だと信じ続けるだろう。

 やれやれだぜ、と思っていたところに面白ニュースが飛び込んできた。
 某著名アンチフェミ曰く「愛あるセックスの快楽はチーズバーガー2個分と同等」らしいのである。で、そんなもんのために「非モテはツラい」ってこの世の終わりみたいに嘆いてみせてるなんて馬鹿馬鹿しいよね!チーズバーガー2個で同等の快楽を感じられるならチーズバーガー食べなよ!って話なのかと思ったら、「快楽自体はそんな程度なんだから女は+α男をケアすべき」って意味だったっぽくて、なんでそうなる???と吃驚仰天なんだが、それはそれとして、アンチフェミから言われる「どうせモテないブスBBA」に対しては「うんうん、とりあえずチーズバーガーでも食べて落ち着きなよ」でいいんじゃないかな、と。

(しかし、大元のネタ、どうやらマウスの実験の話で人間じゃないらしいですね。マウスの実験において「愛あるセックス」とは???まぁ、とりあえずチーズバーガーは美味しいから食べなよ。)

***

 今回のホルガ村カエル通信は以上です。

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 よく「ネトウヨはアンチフェミを兼ねている」なんて言う左翼がいますが、これまでフェミっぽいツイートに「ブスの僻み」みたいなことを言ってきたのは右に限らないんで、もうみんなまとめてチーズバーガー食っててほしいなぁという気持ちになります。
 ってことで、みなさんのオススメのバーガーを教えてくれてもいいんですよ。私はフレッシュネスバーガーのベジバーガーが好きです!

 では、また次回配信でお会いしましょう🐸

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